[15] 束縛心を持たない女、または、我侭な恋愛。
若いときは、束縛心がとても強かった。一秒たりとも自分以外のことを考えてほしくなかったし、100%の確率で自分だけを愛していてほしかった。今の主人と結婚してからかな?そんな気持ちは落ち着き、大抵のことはニッコリ笑ってすごせるようになったと思う。それは、主人は自分を絶対に裏切らないと信じているからかもしれない。逆に言えば、そんな家庭を持っているからこそ、「自分だけを選ばない」恋人と恋愛ができるのだと思う。

2ヶ月ぶりのデート。その間あまり連絡もとれなかったこともあり、カフェでお互いの近況を語り合っている最中、彼女は言った。

「新しい彼氏ができた」

私の友人だった元彼と別れてからずいぶん経っていたし、彼女はとても社交的だ。SNS経由で知り合った男たちとデートを重ね、自分なりに吟味していたのだろう。それがわかっていたので、私はとても喜んだ。今までと違うタイプだと喜々として話す彼女は幸せそう。一ヶ月くらいのつきあいで、毎週末に必ず泊まりでデートをしているほど親密な仲だという。私よりもだいぶ年上のその彼氏は、私が言うのもなんだが、写真で見る限り、取り立ててカッコイイわけでもない普通の30代後半男性だった。

彼女にとっては、安心して長くつきあえる、(やっと)腰の据わった彼氏。私も少し安心した。私と会わない時間、どうやってすごしていたんだろう?と、自意識過剰ながらも心配していたからだ。このデートでは、それを謝ろうと思っていた。馨は、その空白の時間を長いと感じることもなく、彼氏と蜜月を重ねていたのだ。

改めて。
「束縛心を持たないか?」

────こたえは、YES。
わかっていたことだ。彼女は結婚がしたいのだ。家庭がほしいのだ。子どもが欲しいのだ。それを叶えてくれるかもしれない相手が現れた。それはとてもおめでたい話。私にとって、彼女がすべてではないのと同様に、彼女にとっても私はすべてではない。それはつきあい始めたときに了承しあっていることであって、今更自問自答するべくもない。私が家庭を優先させるたび、彼女が感じていた気持ちと同じはずだから。

もうすぐ、彼女と恋人になってから満4年。5年目にはいるこの夏、混ざり合う贅沢な想いを抱きしめながら、私は生きるだろう。

帰り道、ひとりさまよう汐留はなんだか、自分ひとりしか存在しない異世界みたいに感じた。

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