[25] 恋の記憶2
馨との日々は、私にとって「逆転」の連続だった。
もとはといえば、元彼女への深い想いを断ち切るきっかけを探したくてかけた「募集」だった。とはいえ、私が好意を抱く女性の理想モデルは、元彼女に他ならない。馨の言動は全てが元彼女とは異なり、面喰らうことも多かった。けれど、良い意味で振り回してもらうことで、失恋の痛手からは脱したと思う。
馨は、言葉を上手に扱う人。私は、言葉で伝えることが苦手な人。私が拙い言葉を連ね、送信する。その文面は、行間がいくつも空いている。馨はそれを、「あなたは行間に想いを込めるんだね」と(いうようなコトを)言ってくれた。不器用な私の言葉を、読み取ろうとしてくれる女性。───私は、それまで生きた中で、伝えることが難しいために誤解されたり、理解しようともされないことが多かった。だから。

馨は、私を理解しようとしてくれる。

それが、おそらく惹かれた理由のひとつではないだろうか。

であって最初の、彼女の誕生日。…を少し過ぎた日。彼女を部屋に招いた。お祝いがしたいから。という理由だっただろうか。その日、馨は私好みの(?)クラシカルなワンピースを着ていた。どちらかというと、派手なドレスは苦手だ。「私は愛されるべき存在」と主張しているスタイルは、対峙する私を不安にさせる。その楚々としたワンピースに包まれた姿は、とてもまぶしくて。元彼女にできなかったことを…しても、この女性は受け入れてくれるかもしれない。

肌に触れたくて、彼女を抱きしめた。

ほぼ、ネコの経験しかない私。セックスと呼ぶには幼稚すぎる行為だったかもしれないけど、私は確かに馨を抱いた。彼女のきれいすぎる肌を何度もなぞった。

その後、彼女にプレゼントを渡すときだったか。「好きなの?」と問われたような気がする。衝動ではあった行為だけど、私は、この女性となら、時を経ても一緒に居られるかもしれない。そう思ったのだ。 つづく>>>

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